各種調停について
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家事調停・家事審判
調停
- 第三者が、紛争当事者の仲立ちをして、紛争を解決へと導くこと
- 家事調停に当てはめると、家事審判官一名と民間から選ばれた調停委員二名以上(合議制)が、 紛争当事者の仲立ちをして、双方納得のいく解決を図る手続きです。双方合意に至ると、調停成立の、調停調書が作成されます
家事調停事件
- 調停不成立の場合、すぐに合意した内容の調停を成立させるかどうか、の取り扱いの違いにより分類されます
- 乙類調停事件、23条事件、一般調停事件があります
- 乙類調停事件
- 親権者の指定又は変更、婚姻費用の分担、遺産分割など
- これらは当事者間に争いのあることが想定され、まずは、当事者双方の話合いが期待され、調停に付されます。
- 当事者が審判を申し立てても、家事審判官がまず話合いする方がよいと判断した場合、調停に付すこともできます。
- 合意が成立し、その合意が調停調書に記載された場合、確定した審判と同一の効力があります
- これに基づき、強制執行手続きをとることができます
- 調停が不成立の場合、改めて審判申立せずとも、自動的に審判手続へ移行されます
- 23条事件
- 親子関係の不存在確認、嫡出否認、認知など
- 当事者間に原因の有無に争いがない場合で、家庭裁判所が合意相当と認めた場合、当事者が合意した内容について、調停の成立に代えて家事審判法23条に基づく審判が行われます。
- 合意に相当する審判が確定した場合、確定判決と同一の効力が認められます。
- 調停が不成立の場合、自動的に別の手続に移行されませんので、改めて訴訟を提起する必要があります。
- 一般調停事件
- 家庭に関する紛争等のうち、離婚や夫婦関係の円満調整など
- 合意が成立し、その合意が調停調書に記載された場合、確定した審判と同一の効力があります
- 調停が不成立の場合、自動的に別の手続に移行されませんので、改めて訴訟を提起する必要があります。
遺産分割の調停
- 被相続人が亡くなり、遺産の分割についての遺言もなく、相続人間で争いがある場合、家庭裁判所に調停を申立ます。
- この調停は、相続人のうちの1人もしくは数人が、他の相続人全員を相手方として申立てます。
- 調停手続では、当事者双方から意見を聴いたり、遺産の鑑定を行うなどして、当事者の希む解決案の提示、助言を行い、合意できるよう話を進めます。
申立人
- 共同相続人
- 包括受遺者
- 相続分譲受人
- 遺言執行者(包括遺贈の場合)
- 相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所又は当事者の合意の家庭裁判所 へ申立します
- 調停が不成立になった場合、自動的に審判手続へ移行されます。家事審判官が職権で、審判(判決)することとなります。
寄与分を定める調停
- 共同相続人のうち被相続人の財産の維持・増加について、特別に寄与した者は、法定相続分に加えて寄与分が認められます。
- 寄与分について相続人の遺産分割協議が調わないとき又は協議ができない場合は、家庭裁判所に調停を申立ます。
- 調停手続では、当事者双方の意見をきき、資料等を提出してもらうなど、当事者の希む解決案の提示、助言を行い、合意できるよう話を進めます。
- 調停が不成立になった場合は、審判手続に移行されますが,遺産分割審判の申立てをしていないと不適法として却下されることになります。
申立人
- 被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした相続人で、申立人以外の共同相続人全員が相手方になります。
- 相手方 うち1人の住所地の家庭裁判所又は当事者の合意の家庭裁判所へ申立します
- 遺産分割事件が家庭裁判所に係属している場合は、その事件が係属している家庭裁判所 へ申立します
遺留分減殺による物件返還請求の調停
- 遺留分とは、一定の相続人に、法律上保障されている相続財産の一定の割合のことです。
- 遺留分減殺請求とは、遺留分を侵害された者から、贈与又は遺贈を受けた者に対し、遺留分侵害の限度において、物件の返還を請求することです。
- 当事者間で話合いがつかない場合又は話合いができない場合、遺留分権利者は、家庭裁判所に調停を申立ます。
- 家庭裁判所に調停を申立ても、遺留分減殺の相手方に対する意思表示とはなりませんので、別途、内容証明郵便等で意思表示することを要します。
- 調停手続では、当事者双方の意見をきき、資料等を提出してもらうなど、当事者の希む解決案の提示、助言を行い、合意できるよう話を進めます。
申立人
- 遺留分権利者
- 遺留分権利者の承継人(遺留分権利者の相続人等)
- 相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者の合意の家庭裁判所へ申立ます
認知調停
- 婚姻関係にない父母の間に生まれた子を父が認知しない場合、子などから父を相手方として家庭裁判所に調停を申立ます。
- この調停の中で、当事者間が合意し、家庭裁判所が必要な事実調査等を行った上で、当事者の合意が正当だと認めた場合、当事者が合意した内容について、調停の成立に代えて家事審判法23条に基づく審判が行われます。
- 認知の効力は、出生のときに遡り、法律上、親子関係が生じることになります。
申立人
- 子
- 子の直系卑属
- 子又は子の直系卑属の法定代理人
- 相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者の合意の家庭裁判所へ申立ます
審判事件
- 審判事件は、甲類事件・乙類事件があります
- 甲類事件
- 性質上、当事者が対立して争うものではなく、裁判官の審判(判決)のみとなります。
- 子の氏の変更許可、相続放棄の申述の受託、後見人の選任、等があります。
- 乙類事件
- 当事者が対立して争いあるもので、まずは当事者間の話合いによる解決が、期待され、審判のほか、調停も扱われます。
- 通常、最初に調停を申立、話合いがつかず調停不成立の場合に、審判手続に移行します。-当事者が審判を申立しても、裁判官の判断により、まず話合いによる解決がよいとした場合は、調停での解決を試みることとなります。子の監護に関する処分、離婚後の財産分与処分、 親権者の変更、等があります。
審判手続
- 審判事件は、家事審判官が、当事者から提出された書類、家庭裁判所調査官の調査の結果、等基づいて審判(決定)します。
- 審判に不服があるとき(不服の申立てができる事件)は、2週間以内に不服申立てをして、高等裁判所に再審理してもらうこともできます。
- 不服申立てをせず、2週間が経過した場合、高等裁判所で不服申立てが認められなかった場合、審判確定となります。
審判の効力
- 戸籍の訂正等を目的とする場合は、戸籍の届出ができるように、金銭の支払を目的とする場合は、支払を受けることができるようになります。また、支払義務者が履行しない場合、強制執行の手続をとることができます。
審判の種類
- 親子に関する審判
- 未成年後見人選任
- 未成年後見監督人選任
- 子の氏の変更許可
- 特別代理人選任
- 親権者変更
- 死後離縁の許可
- 相続に関する審判
- その他審判
- 性別の取扱変更
- 氏の変更許可
- 名の変更許可