遺産分割方法の指定
遺産分割方法の指定 とは(民法908条)
民法第908条(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)
被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
- 遺産は相続分に応じて共有財産となります。
- 共有財産を,共同相続人間で分割することを「遺産分割」といいます
- 本条は,遺言によって
- 相続財産の分割方法を指定すること
- 第三者に対する分割方法の指定を委託できること
- 相続開始より5年内なら相続財産の分割を禁止できること
を定めています。
遺産分割 の方法
- 遺産の分割には3つの種類があります
- 指定による分割 (民法908条)
- 協議による分割(民法907条)
- 調停・審判による分割(民法907条2項)
指定による分割
- 他の分割方法よりも,最優先されます。
- 「遺言」によって遺産をどのように分割するのかを指定することができます
- 「遺言」による遺産分割方法の指定は,「遺言」でのみ行うことができます
協議による分割
- 共同相続人全員での協議によって行う遺産の分割方法です。
調停・審判による分割
- 共同相続人間で,協議が整わない場合に,
- 家庭裁判所に
- 遺産の分割の調停,若しくは,審判の申立てができます。
遺産分割の具体的方法
- 現物分割
- 換価分割
現物分割
- 遺産そのものを現物で分ける方法
換価分割
- 遺産を売却して代金を分ける方法
- 売却費用・譲渡所得税を考慮する必要があります
代償分割
- 相続人の内一人が遺産を取得する代わりに,他の相続人に金銭等を支払う方法
- 代償金には贈与税はかかりません
上記を組み合わせる方法
遺産分割方法の指定の例
「甲土地をAに,乙土地をBに相続させる」との遺言
- 特定の遺産を特定の相続人に相続させる旨の遺言は,遺産分割方法の指定であり,当該遺産は, 直ちに当該相続人に承継されるとされました(判例 H.3.4.19)
- 遺言効力発生と同時に共同相続人は指定されたとおり,個別に財産取得することとなります。
遺言による遺産分割方法の指定の委託
- 「遺言」でのみできます
- 相続人の「誰が」・「何を」・「どのように」分けるのか,遺産の分割方法を被相続人は「遺言」で,第三者に委託することができます。