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遺留分減殺請求の指定

Tag: 遺留分

遺留分減殺方法の指定

民法1034条(遺留分減殺方法の指定)

  • 遺贈は,その目的の価額の割合に応じて減殺する。
  • ただし,遺言者がその遺言に別段の意思表示をしたときは,その意思に従う
  1. 原則として,数個の遺贈がある場合に,遺言に別の意志表示をしない限りは,それぞれの遺贈の価格の割合に応じて按分して,各遺贈を減殺します。
  2. ただし,遺言者がとくに,減殺の順序や割合に関して何らかの意思を表示している場合には,その意思に従わなければなりません。
  3. 本条は,遺贈に準ずるべき死因処分が数個ある場合にも適用されます。
  4. 相続人が遺贈を受けた場合は、その相続人の遺留分を控除した金額が、本条の「目的の価額」となります。
  • この別段の意思表示は,「遺言」でのみできます

民法第1033条(贈与と遺贈の減殺の順序)

  • 贈与は,遺贈を減殺した後でなければ,減殺することができない。
  1. 遺留分は,まず遺贈から減殺して,それでも足りない場合に,初めて贈与を減殺することが出来ます。
  2. この規定は,贈与の対象財産は相続開始時にすでに,受贈者の財産となっている点を考慮し,減殺をうける者にとっての苦痛の大小からも,また,遺留分権利者にとっての遺留分の保全の見地からも,できれば遺贈のみで済ませようとする趣旨です。

民法1035条(贈与の減殺の順序)

  • 贈与の減殺は,後の贈与から順次前の贈与に対してする。

つまり・・

  1. 贈与に対する減殺は,相続開始時に近いものから順になされていきます。その基準となるときは「贈与契約の成立時」です。
  2. 同時の贈与の場合は,「価額の割合に応じて」減殺されることとなるでしょう。

民法1036条(受贈者による果実の返還)

  • 受贈者(もらった人=贈与を受けた人)は,その返還すべき財産のほか,
  • 減殺の請求があった日以後の果実を返還しなければならない。

つまり・・

  1. 遺留分減殺請求によって,その贈与の目的物(対象物)は,遺留分権利者のものとなり,受贈者はその権限を失うので,そこから生じた果実(家賃収入等)も返還する義務を負うこととなります。
  1. なお,この規定は,「受贈者(贈与を受けたもの)」だけでなく,「受遺者(遺贈を受けたもの)」にも適用される条文です。

民法1036条(受贈者による果実の返還)

民法1038条(負担付贈与の減殺請求)

  • 負担付贈与は、その目的の価額から負担の価額を控除したものについて、その減殺を請求することができる。

つまり・・

  1. なにがしかの負担がある贈与では,負担すべき額を控除した部分を「贈与の価額」として,減殺の請求することができる・・という意味です。
  2. なお,負担付遺贈も同様の取り扱いとなります。

対象となる贈与・遺贈が複数ある時の遺留分減殺請求の順序
(減殺は時間的に新しいものから行うと規定されています)

     
第一 遺贈
(遺留分侵害額に足りないとき)
第二 贈与    原則、相続開始前一年以内になされた贈与が対象
上記、減殺請求の順序を変更する旨の遺言をしても効力は生じません
複数の遺贈がある場合、財産価格に応じた按分割合で減殺します
 例    遺留分侵害額(減殺額)300万円
 甲 財産    1000万円  ・  乙  財産      500万円
 2     対      1    の割合で減殺
 200万円  対    100万円
                 

ここで、減殺割合・減殺すべき金額等について、
規定と異なる遺言による指定をすることができます

例   甲 財産のみ を減殺請求の対象とする 
例   甲 財産から 何 万円・乙 財産から 何 万円減殺する
複数の遺贈がある場合、その中の減殺順序を指定することができます

 第一 A財産である 預金

  第二  B財産である 動産
  第三  C財産である 土地  の順に減殺対象とする
(指定は遺留分を侵害しないように配慮する必要があります)

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