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限定承認

限定承認 (民法922条)

限定承認

(1)限定承認の効果(民法922条)についての超訳

民法第922条(限定承認の効果)
 相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、承認をすることができる。

  • 限定承認」についてや!!
  • 実はな・・おっちゃん後で説明するけど「限定承認」嫌いやねん。
    でもな、おっちゃん、皆の為に頑張ってみるわ。
  • で・・そもそも「限定承認」ってどういう意味やねんちゅうことからやな。

ちょっと復習や~

  • 「単純承認」の場合には、
    無制限かつ無条件に、被相続人の権利義務をひきついだやろ?

それに対して

  • 限定承認」は、
    被相続人の債務および遺贈を、相続によって得た財産の限度まで支払うことを条件とした、相続人の意思表示による相続を言うんや。
  • で、どんな場合に「限定承認」を行うのかっちゅうことやけど、例えば、あんたの父親が死んだとしょっか・・ほんで、父親には不動産があんねんけど、どうやら借金もあるらしいんや・・でも、一緒に住んどった訳でもないし、それほど仲良かった訳でもなかたから、何や・・よーわからんねん。
  • そんな場合にはや、まぁ・・できれば相続してもかまへんねんけど・・・借金の方が多かったら嫌ややし・・って、普通は思うわな。
  • そんなときにするのがこの「限定承認」ちゅう方法や。
  • あんたが「限定承認」した場合には、あんたは、たとえ父親の借金が、父親の相続財産よりも大きくても、父親の相続財産の限度においてのみ、その借金を返済すればエエっちゅことになんねん。

今日のワンポイントアドバイスや

  • あんたが「限定承認」したとしても、父親に属した債務を全額引き継ぐことにかわりはないんや。
  • ただ「限定承認」してまうと、債務の引き当てとしては、相続財産を限度とする有限責任を負うことになんねん。
  • つまり、プラスの相続財産を超えるマイナスの借金部分は「責任無き債務」と呼ばれることになるねん。
  • そういうことなので、相続債権者は、限定承認をしたあんたに対して、債務の全額を請求すること自体は可能となる訳や。
  • なので・・あんたが、「責任無き債務」部分を任意に弁済すれば、それは有効な債務の弁済となるので、気をつけなはれ。

共同相続人の限定承認 (民法923条)

民法第923条(共同相続人の限定承認
 相続人が、数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

(1)超訳

  • 相続人が数人いる場合には、その内の一人だけが「限定承認」する訳のはアカンちゅうことにしたんや。
    そやないと、手続が煩雑になりすぎて収拾つかんようになってまうからな・・まぁ・・しゃ~ないな。
     
  • そやさかい、相続人が複数人いる場合に「限定承認」をするためには、
    相続人の全員が一致団結
    してやらんとアカンちゅうことになるんや。

ほな、ワンポイントアドバイスや。

  • 相続人が数人いる場合の、熟慮期間についてやけど、いつから起算したらエエのかっちゅう問題があるわけや。
  • これについては、「共同相続人の内で、最後に相続開始を知った相続人を基準とする」というふうにしたんや。
  • つまり、一人でも熟慮期間内の相続人がおったら、その他の相続人の熟慮期間が経過しとっても、全員で限定承認をすることがでけるちゅうこっちゃで。

限定承認の方式 (民法924条)

民法第924条(限定承認の方式)
 相続人が、限定承認をしようとするときは、第915条第1項の期間内に、財産目録を調整してこれを家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。

(1)超訳

  • さて、今日は「限定承認」のやり方についてや
  • 限定承認」は、相続債権者とか受遺者その他の利害関係人に重大な影響を及ぼすことになるので、一定の形式が要求される訳や。

まず、「限定承認」をすることができる期間についてや!

  • 覚えてると思うけど、民法915条第1項によると、
    「自分のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」
    となってんねん。
  • 次に、相続財産について、「財産目録」を作らんとアカン訳や。
  • この「財産目録」の様式とか内容とかは、特に法定されとらんのや。
    そやさかい言って、どんなもんでもエエんかちゅうと、そうはイカの金玉や!!

「財産目録」の作成に関して、要点だけ言うとくで・・


  • 作成者は、「相続人」若しくは「その代理人」や

  • 公証人その他の立会いは不要や

  • 債務の引き当てとなるべく財産の範囲を明確にしておくんや

  • 慎重かつ正確に記載するんや

  • 必ずしも価額まで示す必要は無いとも言われてるけど、でけるだけ価額も書くんや

  • 価額の根拠も明確にしときや

ほんでや、この「財産目録」に、相続財産を一部でも

悪意で記載しなかった場合

には、単純承認をしたものとみなされる場合があるんで気をつけましょう

まぁ、逆に言うと、善意で記載漏れしたものは、後日訂正することがでけるかもしれん。

  • 次に「限定承認」は、被相続人(亡くなった人)の住所地または相続開始地の家庭裁判所へ申述書を提出して行うんや。
  • 限定承認」は、申述受理の審判によって成立し、告知によってその効力を生じるんや。

今日のワンポイントアドバイスや

  • 限定承認は、あんたやあんたたち相続人が、相続の開始を知った時から3ヶ月以内に、財産目録を調整して、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に申述することによってでけるようになるんや。
  • なお、家庭裁判所の申述却下の審判に対しては、即時抗告がでけるけど、受理された場合には抗告することはでけへんで。

相続人と被相続人間の権利義務の不消滅(民法925条)

民法第925条(相続人と被相続人間の権利義務の不消滅)
 相続人が、限定承認をしたときは、その被相続人に対して有した権利義務は、消滅しなかったものとみなす。

(1)超訳

  • あんたの父親が死んでもた場合に、あんたが父親の相続を「単純承認」してまうと、父親に属した一切の権利義務を引き継ぐことになったやろ?
  • 法律はこの単純承認を原則としてるんや
  • と・・言うことはや、例えばあんたが父親からお金を借りていたとしても、父親のあんたに対する借金返せっちゅう請求権も、逆に父親にお金を貸していたとした場合の、父親への借金返せっちゅう請求権も引き継いでまうことになるんや
  • そうすると、同じ人間が、同じ人間に対して「金かえせ~」って言うたかて、何の意味もないことはわかってもらえるやろ?
    このことを、法律用語で「混同」ちゅうねん
  • ほんで、この単純承認したときに「混同」が生じると、結局それらの権利義務は混同によって消滅してまうことになるんや

だけどやで!!

  • あんたが「限定承認」した場合にも、この「混同」を認めるンか? ちゅうと、そんなことをしたら何やおかしいやろ?
  • そこで、「限定承認」をした場合には、「混同」による権利義務の消滅は認めんと、相続財産を相続人の固有の財産から分離して清算させることにしたんや。

今日のワンポイントアドバイスや

  • 「相続人に対して有した権利義務」の権利とは・・・債権のみならず物権も含まれるんや。

ほんで、

  • 「相続人に対して有した権利義務」の義務とは・・・債務のみならず物的責任もふくまれるんや。
  • ほんで・・あんたと父親が連帯債務者であった場合にも、あんたが父親の債務の連帯保証人になっていた場合などの場合にも、「混同」は生じないものと考えてもエエで~。

限定承認後の相続財産の管理 (民法926条)

民法第926条(限定承認後の相続財産の管理

  1. 限定承承認者は、その固有財産におけると同一の注意を以て、相続財産の管理をしなければならない。
  2. 第645条・第646条、第650条第1項、第2項及び第918条第2項、第3項の規定は、前項の場合にこれを準用する。

(1)超訳

  • 相続財産の管理義務ちゅうのは、あんたが相続を単純承認をしたり、相続の放棄した場合には、消滅するんや(民法918条)
  • じゃ・・限定承認をしたときは、「どうする~」ちゅうことも決めとかんとアカンじゃろ?
  • そこで「限定承認」したときには、相続財産は相続人の財産とは別個に管理・清算せなアカンさかいに、相続財産の管理を継続せなアカンちゅう訳や。
  • ほんで、管理としては「固有財産におけると同一の注意を以て」せんとアカンねん。
  • 管理義務者は、単独相続の場合には「限定承認者」やけど、共同相続の場合には「家庭裁判所より選任された相続財産管理人が選任された場合には、相続財産管理人たる相続人」となるんや。

ほな、ワンポイントアドバイスや。

  • もしも、相続人では無い相続財産管理人が選任されたら、限定承認者又はその代表者は、相続財産の管理処分権を失ってしまうんか?
  • ちゅうことについては、色々な見解があるけど、管理処分権をうしなわへんちゅう風に考えるのが主流みたいや・・そやけど、実際はよ~くわからんさかい。
  • 相続財産をどないかするときには、相続財産管理人としっかりと打ち合わせやっとかんと後で、困ったことになりかねんで~

債権者に対する公告(民法927条)

民法第927条(債権者に対する公告)

  1. 限定承承認者は、限定承認をした5日以内に、一切の相続債権者及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。但し、その期間は2ヶ月を下ることができない。
  2. 第719条第2項及び第3項の規定は前項の場合にこれを準用する。

(1)超訳

  • 本条から、第937条までは、限定承認による清算手続きについてや。
  • まず「限定承認者」は、限定承認をした後5日以内(共同相続の場合で、相続人中から管理人が選任された時には、その選任後10日以内)に、一切の相続債権者及び受遺者に対し、限定承認の申述が受理されたこと、及び、2ヶ月以上の一定期間を定めて、その期間内にその請求の申し出をするべき旨の公告をせんとアカン。
  • この公告は、債権者が公告に定めた期間内に請求の申し出をせなんだら、清算手続きから除外される~ちゅうことを書いとかなアカンねん。
  • 但し! 限定承認者が知っている債権者や受遺者が、公告の期間内に申し出をせえへんかったからゆうて清算手続きから除外することはしたらアカンで。
  • 限定承認した者が、知ってる債権者などには、公告の他に、各別にその請求を申し出するように、連絡せなアカンねん。
  • 限定承認をした者が、これらの義務を怠って、相続債権者や受遺者に損害を与えてもた場合には、賠償責任を負う事になるで、気をつけや!

ワンポイントアドバイスや

  • 公告や催告せなあかん相手方とは、弁済によって清算することがでける債権者に限られんねん。
  • 逆に言うと、限定承認をされても、その権利行使に何も支障の無い債権者(相続財産の不動産に賃借権・地上権等を有する者)には、催告の必要が無いちゅうこっちゃ。
  • ほんで・・・公告の方法やけど、直接の規定は無いけんど、法人の清算のときに準じて、登記所のなすべき登記事項の広告と同一程度の方法によるものと考えられてんねん。
  • そうそう・・公告に要した費用は、相続財産が負担するんやで~。

弁済拒絶権 (民法928条)

民法第928条(弁済拒絶権)
 限定承承認者は、前条第1項の期間の満了前には、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができる

(1)超訳

  • 昨日説明した、申し出の期間が満了して、相続債権者や受遺者による申し出が出そろう迄は、たとえ弁済期が過ぎた債権であっても、その弁済を拒絶せなんだら、最終的に公平な配当弁済がすることでけへんやろ?
  • そやさかい、申し出の期間が過ぎる迄は、弁済を拒絶でける!・・って、いうふうに決めたんや。
  • この期間中は、債権者は相続財産に対して、強制執行することもでけへんねんで。
  • ただし、相続財産上に優先権(先取特権・質権・抵当権・留置権)を有する債権者は、その申し出期間内でも、その権利を行使してもかまへんねん。

今日のワンポイントアドバイスや

  • 本条による弁済の拒絶は、義務じゃ無いんや。
  • そやから、本条に反して弁済しても、その弁済は有効な弁済となってまう。
  • その代わり・・本条に反して弁済して、他の債権者に損害を与えると、その損害を賠償せんとアカンようになるで、気をつけなはれ。

配当弁済 (民法929条)

民法第929条(配当弁済)
 第927条第1項の期間が満了した後は、限定承認者は、相続財産を以て、その期間内に申し出た債権者その他知れた債権者に、各各その債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。但し、優先権を有する債権者の権利を害することができない。

(1)超訳

  • 請求申出期間が満了すると、相続財産に対する債権者とその債権額が確定するにゃ。
  • じゃ・・誰に幾らづつ弁済すればエエんか??・・・ちゅうことを決めとかんと、声の大きいタチの悪い債権者が得をしてまう恐れがある訳や。
  • そこで、債権者間の公平を図らんとアカンちゅうことで、弁済の順序と方法を決めたのが本条の内容やねん。
  • 第1に、相続財産を構成する財産の全部または一部の上に、先取特権・質権・抵当権・留置権等の優先権を持ってる債権者に弁済するんや。
  • 第2に、期間内に、申し出た債権者、その他の知れたる債権者に弁済するんや。
  • もしも残余財産で、それらの債権の全てを完済することがでけへんちゅう時には、債権額の割合に応じて残余財産を配当弁済せんとアカンちゅうことやな。
  • ほんで、最後に受遺者に弁済するんや。

ワンポイントアドバイスや

  • 「知れたる債権者」ちゅうのは、氏名も債権額も「知れた」ことを必要とするんや。
  • ほんで、弁済を受けるためには、債権が金銭に評価しうるものでないとアカンで~

期限前の債務等の弁済 (民法930条)

民法第930条(期限前の債務等の弁済)

  1. 限定承認者は、弁済期に至らない債権でも、前条の規定によってこれを弁済しなければならない。
  2. 条件附き債権又は存続期間の不確定な債権は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、これを弁済しなければならない。

(1)超訳

 ちょっと考えてほしいんやけど・・

  • 請求申し出期間が満了しても、相続財産から弁済しようと思っても、その債権が弁済 期(支払わんとアカン時期)になってない場合があるやろ?
  • つまりや、Aさんから借りたお金の弁済期(返さんとアカン時期)が、平成25年12月5日やとしても、請求申し出の期間が、平成24年8月1日やったとしたら、後1年と4ヶ月間も支払うのを待っとかなアカンちゅうことになると、限定承認の清算手続きが煩雑になってもて、清算手続の完了も著しく遅延してまうことになるやろ?
  • そやさかい、これらの債権についても他の弁済期が到来した債権と同様に、一時に清算を完了させることにしたんや。

ワンポイントアドバイスや!

  • ちょっとややこしい話やけど、本条によって限定承認者は、期限の利益(平成25年12月5日までは支払わなくても良いという利益)を放棄して、本条の規定に従って弁済をせんとアカンねんけれども、その債権の保証人まで、その期限の利益を失う訳では無いので、例えば、Aさんに1000万円弁済せんとアカン場合に、相続財産から500万弁済があった場合に、残りの500万円は保証人が弁済することになるんやけど、保証人は平成25年12月5日まで500万円の弁済しなくても良いっちゅうこっちゃ。

受遺者への弁済(民法931条)

民法第931条(受遺者への弁済)
 限定承認者は、前2条の規定によって各債権者に弁済をした後でなければ、受遺者に弁済をすることができない。

(1)超訳

  • 限定承認者は、929条や930条に従って、まずは相続債権者に弁済せんとアカン訳や。
  • ほんで、相続債権者に弁済してもなお、残余の相続財産がある場合に限って、受遺者に弁済することがでけるんや。
  • まぁ・・考えてみればや、多くの相続債権者ちゅうのは、すでに何らかの対価等を亡くなってもた人に与えて、それを返してもらうっちゅう関係にあるんやさかい、亡くなってもた人からの好意に基づいて、一方的に権利をもらう受遺者と同列にしたる必要は無い・・ちゅうこっちゃ。

今日のワンポイントアドバイスや

  • 受遺者への弁済方法についての規定は無いんや。
  • そやさかい、残余財産を以て、全ての遺贈を弁済することがでけん時には、第929条を類推適用して、その額に応じて配当弁済をすることとなると、おっちゃんは思う。

相続財産の換価 (民法932条)

民法第932条(相続財産の換価)
 前3条の規定に従って弁済をするにつき相続財産を売却する必要があるときは、限定承認者は、これを競売に付しなければならない。但し、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い相続財産の全部又は一部の価額を弁済して、その携番を止めることができる。

(1)超訳

  • 限定承認をした場合に、債権者や受遺者に弁済せんとアカンけど、現金が無いときには、相続財産をお金にかえんとアカンやろ?
  • その場合に、勝手に売却すると、もしかすると低額で売却したり、売却価格を誤魔化したりして、後の配当手続を困難にしてまうことがあるんや。
  • そやさかい、相続財産を売却するには、これを競売せんとアカンとした訳や。

ワンポイントアドバイス

  • もしも本条に反して、限定承認者が任意売却してもた場合どうなんねんちゅう話やけど、この場合でも勉定昇人自体が無効とはならないこと、及び、その任意売却自体も有効なものとかんがえられてるんや。
  • 但し、それによって相続債権者や、受遺者に損害を与えた場合は、不法行為による損害賠償責任を負わされると考えとかんとアカンさかい、気をつけなはれ。

相続債権者等の換価手続への参加(民法933条)

民法第933条(相続債権者等の換価手続への参加)
 相続債権者及び受遺者は、自己の費用で、相続財産の競売又は鑑定に参加することができる。この場合には、第260条第2項の規定を準用する。

(1)超訳

  • 前条の換価手続きが適正に行われることについて、相続債権者及び受遺者は、利害関係があるさかい、その利益を保護するために、それに参加する権利がみとめられてるんや。
  • この場合にどこに参加の申し出をするんや?・・ちゅうことやけど、競売については競売機関に、鑑定については鑑定人を選任する家庭裁判所にするんや。
  • 参加の申出したのに、その参加を待たずに競売とか鑑定がされてもた場合、これを以て参加申出人に対抗することがでけへん(260条第2項準用)ねん。

ワンポイントアドバイス

  • 上で書いてる「対抗することがでけへん」ちゅう意味やけど、これは競売や鑑定が無効になるちゅうことやないんや。
  • 参加申出人が、申出人の参加を待たずにされてもた競売や鑑定で、損害を受けた場合には、申出人に参加の通知をすべきであった者が不法行為による損害賠償責任を負うことになる。ちゅう意味やと考えられてるんや。

不当な弁済の責任 (民法934条)

民法第934条(不当な弁済の責任)

  1. 限定承認者は、第927条の公告若しくは催告をすることを怠り、又は同条第1項の期間内に相続債権者若しくは受遺者に弁済をしたことによって他の相続債権者若しくは受遺者に弁済をすることができなくなったときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。第929条から第931条までの規定に違反して弁済をしたときも、同様とする。
  2. 前項の規定は、情を知って不当に弁済を受けた相続債権者又は受遺者に対する他の債権者又は受遺者の求償を妨げない。
  3. 第724条の規定は、前2項の場合について準用する。

(1)超訳

  • 色々と書いてあるけど・・・簡単に言うと・・
  • 言いたいことは、「限定承認者が清算手続きに関する法律上の義務に違反してその任務を怠ったり、一部の債権者に弁済してもたことによって、他の債権者等に弁済ができなくなった場合には、限定承認者は、自己の固有財産を以てその損害を賠償する責任がある」ちゅうこっちゃ。

ワンポイントアドバイス

  • この賠償請求権を有しているのは、所定の期間内に債権の届け出をした債権者、知れたる債権者及び優先権を有する債権者に限られるンや!
  • ちなみに・・この賠償請求権は、不法行為によるものとされてるんや、そやからこの賠償請求権の消滅時効に関しては、不法行為による損害賠償請求権のそれが適用されるさかいね。

公告期間内に申出の無い相続債権者及び受遺者(民法935条)

民法第935条(公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者)
 第927条第1項の期間内に同項の申出をしなかった相続債権者及び受遺者で限定承認者に知れなかったものは、残余財産についてのみその権利を行使することができる。ただし、相続財産について特別担保を有する者は、この限りでない。

(1)超訳

  • 思い出してほしいんやけど、民法第927条1項で請求申出期間内ちゅうのがあったやろ?
  • 本条では、その請求申出期間内に申し出をしなかった債権者・受遺者で、かつ限定承認者に知れなかった者にも、清算手続き終了後なお残余財産のある場合にのみ、権利行使を認め、その利益を保護することとしてんねん。
  • ほんで、相続財産に対して特別担保をもっとる債権者は、たとえ期間満了後に申出をしたとしても、その担保の目的物の限度において優先して弁済を受けることができるちゅう当たり前の事を注意的に規定してはるんや。

ワンポイントアドバイス

覚えてるかな??

  • 限定承認の法律の説明にはいる一番最初におっちゃん「限定承認は嫌いやねん」って言うたやろ?

その原因がこの条文やねん。

  • 思うに・・・この法律って、何やおかしいと思いまへんか??
  • 考えると・・・限定承認をする人は、残余財産(※ 参照)があれば、それは自分のものになると期待するからこそ限定承認を行うはずやねん。

※残余財産とは・・所定届出期間内に届出をした債権者に対する清算手続きを行い、受遺者に弁済を終了してもなお残っている相続財産の一部やな。

  • そやのに、この法律のせいで、民法第927条1項の請求申出期間内に、申出をした債権者に配当をして残余財産が出ても、申出をしなかった債権者・受遺者を清算手続きが終わっても完全に債権者から排除できないので、残余財産は完全に限定承認者のものにはならへんわけや。
  • そら、実際問題として、実務において、こんな債権者が現れることは殆どないかもしれんけど、気持ち悪いわな~。
  • 万が一・・こんな債権者が出てきたらどうするか??
  • とりあえずは、消滅時効の援用とか、債権自体が存在しないとかで争わんとしゃーないやろな・・・ほんでも、払わなあかんかったら、払わんとしゃーないんやけど、万が一にも、いったん清算が終了した後に、複数の債権者が、残余財産を目指して請求してきたら、そして残余財産額が請求額に不足する場合、債務超過となるやん?
  • ほしたら、民法第929条、931条に従って、債権額に応じた比例配当せんとアカンようになるんとちゃうかな?・・ほんま邪魔くさい話や!
  • そやさかい、債権届出をさせてその債権者に支払い、残余財産が生じても、相続時から民事債権の消滅時効である最長10年間は、その残余財産に対して何らかの請求がされる可能性があり、残余財産を自由に使えない可能性があるちゅうことを忘れたらアカンねん。

・・・ということで、おっちゃん・・・あまり限定承認を好きになれんわけや。

相続人が数人ある場合の相続財産の管理人(民法936条)

民法第936条(相続人が数人ある場合の相続財産の管理人)

  1. 相続人が数人ある場合には、家庭裁判所は、相続人の中から、相続財産の管理人を選任しなければならない。
  2. 前項の相続財産の管理人は、相続人のために、これに代わって、相続財産の管理及び債務の弁済に必要な一切の行為をする。
  3. 第926条から前条までの規定は、第1項の相続財産の管理人について準用する。この場合において、第927条第1項中「限定承認をした後5日以内」とあるのは、「その相続財産の管理人の選任があった後10日以内」と読み替えるものとする。

(1)超訳

  • 相続人が複数おる場合に、相続人全員が相続財産を管理すると、その権限や責任が不明確になるやろ?
  • そやから、相続人が複数人おる場合にはそれを避けるために、家庭裁判所は管理人を職権で選任せんとアカンねん。
  • ほんで、管理人は、相続人であると同時に、他人のために事務をする受任者でもあるさかい、報告義務・受取物等の引渡義務・費用償還請求権等、委任に関する規定が準用されるんや。

ワンポイントアドバイス

  • 民法第927条(債権者に対する公告)を、ちょっと思いだそか。
    1 限定承承認者は、限定承認をした5日以内に、一切の相続債権者及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。但し、その期間は2ヶ月を下ることができない。
  • つまり、限定承認者は、限定承認をした5日以内に、公告をせんとアカンちゅうことやねんけど、相続財産管理人が選任された場合には、この期間が、10日になるちゅうことやねん。

共同相続人と法定単純承認 (民法937条)

民法第937条(共同相続人と法定単純承認
 限定承認をした共同相続人の一人又は数人について第921条第1号又は第3号に掲げる事由があるときは、相続債権者は、相続財産をもって弁済を受けることができなかった債権額について、当該共同相続人に対し、その相続分に応じて権利を行使することができる。

(1)超訳

  • 限定承認をするには、共同相続人の全員が共同してせんとアカン(民法923)ちゅうたやろ?
  • でも、共同相続人の一部の者に、民法921条1項又は3号のいわゆる法定単純承認事由がある場合に、こうした事由のない他の相続人からまで限定承認の利益を奪うのは、酷ちゅうもんや。

ワンポイントアドバイス

つまりや!

  • 本条の責任を負う限定承認者は、相続債権者に対して、相続財産から弁済を受けられなかった債権額のうち、その相続分の割合に応じた額を、自己の固有財産を以て弁済する責任を負わされることになるんや。
  • そやけど受遺者に対しては、この責任を負うことはないんや。

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