相続財産の確認
Tag: 相続財産
相続財産となるものは・・?
- 相続が開始した場合,被相続人(亡くなった人)に,どのような財産(相続財産)があるのかをできるだけ速やかに調査する必要があります。
- 被相続人が残した財産(相続財産=遺産)が,いわゆるプラスの遺産のみの場合には,それ程急がなくても良いのですが,もしも借金などのマイナスの遺産がある場合や,マイナスの遺産しかなかった場合には,場合によっては「相続の放棄」を検討しなければいけない事もあります
- もしも「相続を放棄」するのであれば,原則として「相続の開始を知った時から3ヶ月以内」に行う必要があります。
- いずれにしても,相続が開始した場合には,速やかに相続財産の確認や調査を行ってください。
相続財産となるもの
財産的権利等
財産的義務
その他
相続財産に借金があるか否かの調べ方
通帳の確認
- 借金をリボ払い(定額支払い)している場合など,被相続人が利用していた金融機関(銀行・信用金庫・信用組合等々)の通帳を確認することで,生前に借金をしていたか等を確認することができます。
なお、預貯金については、通帳が見つかれば残高を調べ、かつ同じ銀行に複数の 口座がないか名寄せを依頼してください。
- 通帳の存在自体が不明の場合は、銀行等へ「預金の残高証明」や「預金台帳の写し」を請求します。
- ただし、この場合には、戸籍謄本などで、相続人であること、及び、運転免許証あるいは印鑑証明書などで本人であることの証明を求められると思いますので、あらかじめ準備してから請求してください。
- この銀行への照会について、お問い合せをする金融機関によっては、「ほかの相続人の同意が必要だ」とか、「相続人の全員で請求してくれ」等と要求してくることも考えられますが、他の相続人の同意などは無くても、ひとりの相続人から単独ですることができます(ただし、聞く耳持たずの対応をされることが予測されますので、その場合にどうするのかは考えておく必要がありますね)。
- 最高裁判所平成21年1月22日判決によると、
- 「・・・したがって,金融機関は、預金契約に基づき、預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負うと解するのが相当である。そして、預金者が死亡した場合、その共同相続人の一人は、預金債権の一部を相続により取得するにとどまるが、これとは別に、共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる(民法264条、252条ただし書)というべきであり、他の共同相続人全員の同意がないことは上記権利行使を妨げる理由となるものではない。・・・」
とされています。
- 「・・・したがって,金融機関は、預金契約に基づき、預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負うと解するのが相当である。そして、預金者が死亡した場合、その共同相続人の一人は、預金債権の一部を相続により取得するにとどまるが、これとは別に、共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる(民法264条、252条ただし書)というべきであり、他の共同相続人全員の同意がないことは上記権利行使を妨げる理由となるものではない。・・・」
- ただし、亡くなられた方が立ち寄りそうな銀行をすべて調査することは事実上かなり地道で大変な作業となりますので、生前に確認できる場合には、できるだけ確認しておくことが必要です。
郵便物の確認
- 被相続人の郵便物の中に,金融会社(消費者金融や,クレジット信販会社等々)からの郵便物があるか否かを確認してください。
借金の存在が明らかだが,その額がわからない場合
- クレジット会社の指定信用情報機関として「株式会社シー・アイ・シー」への信用情報の開示請求を行います。
- 消費者金融(サラ金)の信用情報機関として「株式会社日本信用情報機構・略称:JICC(ジェイアイシーシー)」への信用情報の開示請求を行います。
- 銀行系の借金の確認は,「全国銀行個人信用情報センター」への信用情報の開示請求を行います。
- 必要書類として考えられるもの(請求先に確認してください)。
- 被相続人の除籍謄本
- 相続人の戸籍謄本
- 身分証明書の写し(コピー)
- 手数料
金銭消費貸借契約書や借用証書等
- 遺産の整理をしていく中で,金銭消費貸借の契約書や,借用証書が見つかる場合があります。
- 他人の借金の保証人になっている場合もあるので,それにも注意する必要があります。
不動産の全部事項証明書(不動産登記簿謄本)
- 被相続人が所有していた不動産の全部事項証明書を取得する(不動産を管轄する最寄りの法務局)
- 全部事項証明書の乙区欄(所有権以外の事項)に,(根)抵当権が設定されていないか等,登記簿におかしなものが登記されていないかを確認してください。