相続財産の共有
遺産分割前の相続財産は誰のものか?(民法898条)
民法898条(相続財産の共有)
相続人が数人あるときは,相続財産は,その共有に属する。
(1)本条の意義
- 本条は,民法899条(権利義務の承継の割合)と相まって,遺産分割前の相続財産の法律関係について, 相続財産は共同相続人の「共有に属する」と 規定しています。
(2)一般原則
- 各相続人は,相続財産の全部について使用収益をなす権利を有し,保存行為も各自単独で行えます。
- 相続財産の管理は,相続分の割合に従い,過半数をもって決し,管理費用は相続財産の負担となります。
- 相続財産に変更を加えたり,処分する場合には,相続人全員の一致を必要とします。
- 相続人の注意義務は,相続人の固有財産におけるものと同一の注意義務で足りるとされています。
(3)相続財産の処分
- 例えば,相続人の一人が勝手に相続財産の売却などによって得た対価などが,いわゆる代償財産を構成するとして,遺産分割の対象となるのかが問題となりますが,判例も統一されていません。
- それに対して,相続人の全員の合意で,相続不動産を売却した場合の代償について,売却された不動産は遺産分割の対象から逸出し,各相続人は第三者に対し持ち分に応じた代金債権を取得するとしています(最判53.9.19)。
(4)第三者との関係
相続財産に属するっこの財産と第三者との関係について
- ①所有権の確認
特定の相続財産が共有関係にあることの確認を求める場合には,相続人全員が共同して訴訟の当事者となるべきであるが,持分権存否確認訴訟は単独で行えます。
- ②物権的請求
単独で行使することができます。
- ③処分禁止・仮処分の申請
単独で行使することができます。
- ④登記の移転・抹消請求
例えば,共同相続人の一人が虚偽の単独相続登記を行い,その後,第三者に所有権移転登記をした場合には,他の共同相続人は自己の共有権に対する妨害排除を理由に,所有権の一部抹消登記手続きを求める事ができます。
- ⑤形成権
取消権,解除権などの形成権は,管理行為なので,単独では行使することができません。
(5)遺産をめぐる訴訟について
- 相続財産中の特定の財産の「引渡し」「妨害排除」「登記抹消」等の請求は原告であれ,被告であれ,相続人が各自単独で当事者となっても,目的を果すことができますので,これらの問題は持ち分権を対象とし,その実現をはかるものとして処理すれば十分に対処できる。
- しかし,相続人の内部で相続分権の有無や,相続の割合が争われる場合には,判決の既判力が相続人全員に及ばないと,遺産分割審判の前提が混乱をきたすため,固有必要的共同訴訟になると考えられています。
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