遺言の効力の発生時期
遺言の効力の発生時期
第985条(遺言の効力の発生時期)
- 遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
- 遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。
(超訳)
- (1)遺言の効力発生時期について
- 「遺言」は、一定の方式で作成したときに成立するのじゃが、「遺言」の内容の効力が発生するのは原則として遺言者の死亡の時なのじゃ。
- しかし「遺言」でできる事項には、遺言者の意思の他に一定の条件(手続)を要するものがあり、それらは遺言者の死亡と同時に効力を生じるということは無く、その一定の条件が成就してはじめて、「遺言」の効力が生じることとなるぞ!
- (2)遺言者の死亡により直ちに効力を生じるもの例
- 遺贈(ただし、遺言が効力を生じても目的物の引渡し、登記があるまでは、遺贈義務者に対する目的物引渡請求権があるにとどまる(債権的効力))
- 遺言認知(民781条Ⅱ)
- 特別受益者の相続分に関する意思表示(民903条Ⅲ)
- 後見人、後見監督人の指定(民839条・848条)
- 相続分の分割方法の指定、指定の委託、遺産分割の禁止(民902条・908条)
- 担保責任の指定(民914条)
- 遺言執行者の指定、指定の委託(民1006条)
- 遺贈減殺の制限(民1034条)
- 信託(信託2条)
- (3)一定の条件の成就が必要なものの例
- 相続人の排除、その取消し(民893条・894条Ⅱ)
遺言に停止条件が付されている場合には、その条件が遺言者死亡前に成就した場合には、遺言者の死亡の時に効力が発生するが、遺言者が死亡した後に条件が成就したときには、条件が成就した時から効力が生じます。
ワンポイントアドバイス
- 財団法人設立のための寄付行為は、法人設立のための主務官庁の許可が必要な場合には、遺言者死亡と同時に法人が設立することはないが、寄付財産は遺言の効力発生の時に法人に帰属するぞ。
- 停止条件とは・・・・例えば、「20歳になったら、100万円を贈与する」といったように、条件が成就するまで「100万円を贈与する」といった意思表示の効力を停止させるものを言います。
民法984条(外国に在る日本人の遺言の方式)へ←・→民法986条(遺贈の放棄)へ
※事務所にご来所頂いてのご相談は初回30分まで無料です
※電話によるご相談は初回でも30分3000円(消費税別)が必要です